2014年03月14日

バレエ末席物語〜「マノン」ヴィシニョーワ&ゴメス〜

「マノン」
マノン・・・ディアナ・ヴィシニョーワ
デ・グリュー・・・マルセロ・ゴメス
レスコー・・・ダニール・シムキン
レスコーの情婦・・・ミスティ・コープランド
ムッシューG・M・・・ヴィクター・バービー
他 アメリカン・バレエ・シアター

連日でABTの「マノン」を観てきました。
連日なので、感想もつい前日と比較しがち(汗)
実は、ケント&ボッレの感想より、こちらの感想を先に書いたので、物語説明がこっちのほうが長いかも。

○第1幕
幕が上がると、シムキン/レスコーが黒いマントを羽織って座っている。
(シムキンのレスコー、ちょっとドキドキ(^_^;)
町の人々が踊る中、マントを取ったシムキン/レスコーはややニヒルな表情でソロを踊る。レスコー役頑張ってます!という感じ。シムキンは跳躍がとても軽い。そして高い。ポジションも正確で問題なし。
馬車が到着し、娼館のマダムとムッシューGMが現れる。GMが、ヴィクター・バービーというのが、ちょっと嬉しいサプライズ。久々〜。前日にやってくれたら、リアル夫婦だったのに(^_^;)あえて避けたか。ケント/マノンに、バービー/GMだったら、マノンはデグリューよりGMを選ぶもんね(^_^;)
ゴメス/デグリューも登場。ガッチリ体型がボッレとゴメスは似ているかも。コートの上からでも、胸板の厚さがよくわかる。神学生とは思えない鍛え上げられたカラダ(^_^;)ボッレよりゴメスの方が色っぽい。
上手から、ヴィシ/マノンが馬車で登場。
ヴィシ/マノンは、ケントと違い、すでに色っぽい。個人的には、ケントのような清楚なマノンのほうが、後半の変貌ぶりにドラマ性が増して好きかも。
もっとも、ヴィシはジゼルをやっても、色っぽいからね。
まぁ、神学生にしてはマッチョで色気のあるゴメス/デ・グリューが相手だから、これから修道院に入るとは思えないくらいの色気マノンで合っているのかも。
日本では絶滅危惧種の肉食系カップル。恋愛ってこうでなくちゃね。
友人が「豚骨バターラーメンみたいな二人」と表現。超ウケた(^_^;)
神に仕えようとするはずの男女が、神の道を反れ男と女の魅力にはまっていくのは、人間の人間たる所以。
それぞれの持ち味はともかくとして、ヴィシは本当に踊りが滑らかで上手い。全ての動きがパーフェクト。次にくる手の位置、足の位置がピタッと決まる。
ゴメスも同じ。マノンにアピールするソロでも、全く不安のない安定した踊り。
二人のそれぞれの踊りの安定感とパートナーリンクの滑らかさにより一層物語に入り込めた。
老紳士のお金を見たマノン、ケントは大金に心動かされる表情だったけれど、ヴィシはやや当惑した表情。でも、大げさな表情ではなく、ヴィシとマノンがすんなり一体化している。
老紳士からお金だけ巻き上げ、若い神学生と駆け落ちする時点で、マノンの性がわかる。

寝室のパ・ド・ドゥ。
ベッドから身を起こし、机で手紙を書くデ・グリューを見つめるマノン。
デ・グリューの元へ行き、ペンを取り上げ投げ捨てるマノン。
愛のパ・ド・ドゥ。ヴィシとゴメスは非常によく音を捉えて踊っていたし、見つめ合う二人の間の取り方も絶妙。
マクミランの難しい振付も難なく流れるようにこなし、そこに情感がたっぷり込められていて、二人の気持ちが踊りと共にどんどん高まっていくのが観る側にも伝わってきた。
まさにケミストリーの火花を感じた。
寝室のパ・ド・ドゥの時点ですでに泣いてしまった。この二人の寝室のパ・ド・ドゥ、もっと見ていたいくらい。これぞマクミラン、Theマノンでした。

パ・ド・ドゥのラストに、ゴメスが上着を着て出かけるシーンで、片方の腕がなかなか通らず、ゴメスがやや焦っていた。ちゃんと着れないまま、ヴィシ/マノンにお出かけのキスをして慌てて立ち去っていた。音楽との兼ね合いもあるので焦ったと思う。ヴィシ/マノンもすごい勢いでベッドにダイブしていた。

シムキン/レスコーがGMを連れてくる。GMから豪華なガウンと首飾りを贈られ、当惑するマノン。バービー/GMは、マノンの脚を触るとき、さほどねちっこくなかった。
この日は、首飾りは取れず一安心。
GMと共にマノンが去り、その後、ゴメス/デ・グリューが戻ってくる。マノンを探すデ・グリューの背後からレスコーが跳びかかる。デ・グリューに金貨を渡し、お金で手を引けと言うレスコー。お金なんていらないと投げ捨てるデ・グリュー。レスコーはデ・グリューにお金を握らせ、力でねじ伏せるところに幕。
シムキンとゴメスの体格差からすると、このやり取りはかなり無理があると予想していたけれど、やっぱり(^_^;)でも、カメハメ波〜でねじ伏せたのかな(^_^;)(←バレエ・フェスのファニー・ガラを参照)

○第2幕
淫靡なパーティが繰り広げられるマダムの娼館に、酔っぱらったレスコーがデ・グリューと肩を組んで現れる。
1幕であれだけやりあった二人が仲良く肩を組んでやってくるのが、ややフシギ。
デ・グリューはマノン会いたさにレスコーについてきたのかな。
酔っ払いレスコーのソロ。シムキン、軽々とこなしていました。
個人的には、コルネホの酔っ払い踊りが忘れられない。

情婦役のコープランドは久しぶり。しっかりと踊っていたようですが、またもや舞台脇の小芝居をオペラグラスで覗いていたので、あまり観ていません(^_^;)
アメリカン・ビーフな(?)コープランドは、ABTっぽい。

豪華に着飾ったマノンがGMと共に登場。ヴィシは、1幕からの変貌ぶりはあまりありませんでした。男を知らないときも知った後も、情婦になったときも常に色っぽい。でも、演技をしている感はなく、役柄と自身が一体化している。ヴィシがマノンで、マノンがヴィシ。
ヴィシ/マノンを観ていたら、マリインスキー公演の「アンナ・カレーニナ」を見なかったことをつくづく後悔。さぞかしハマっただろうな〜と思います。次回も、ヴィシの「アンナ・カレーニナ」をやってくれたら是非見に行きたい!!

裏切られてもなおマノンに恋い焦がれるデ・グリュー。
ゴメス/デ・グリューは滑らかで安定した踊り。マノンへの恋心もちゃんと乗せています。
ゴメスのソロの間、ヴィシ/マノンは、シムキン/レスコーに取りすがって手を貸してくれるよう頼む。妹に頼み込まれたレスコーは、マノンにイカサマ用のカードを渡す。このやり取りがあるので、後でレスコーが詐欺容疑でGMに捕まる設定に納得がいきます。
(ケントのときは、マノンとレスコーのやり取りはなかったはず。ケント自身が、胸に大きなポーカーカードを差して持ってきていました)

ポーカーのカードを切って配るのをシムキンがやっていた。(ケントのときは、娼館の雇い人なのか、他の客なのか、別の男性が配っていた)
ここでも、レスコーがカードを配ることで、レスコーのイカサマ賭博への関与が決定的になる。
GMとデ・グリューの勝負のゆくえを別のテーブルで気にするマノン。ついには、いてもたってもいられず、GMとデ・グリューのテーブルへ。マノンがGMの気をそらし、その隙にポケットからイカサマ用カードを取り出すデ・グリュー。
3人の共犯で、ポーカーに負けたGMは激怒。デ・グリューと剣で決闘を始める。レスコーや他の男性もチャンバラに加わる。
どさくさに紛れて、デ・グリューとマノンは手に、手を取って逃げ出す。
怒り狂ったGMが、テーブルに隠れたレスコーに剣を突きつけるところで暗転。

デ・グリューの部屋で愛を交わす二人。
二人に訪れたひとときの平和。
肌色の下着衣装のマノンは、GMから贈られたドレスを嬉しそうに当てたり、ブレスレットを撫でたり、贅沢な暮らしへの憧れは捨てきれない。
今回は、ヴィシはブレスレットを片腕しかつけていず、パーティーの中でもう一つGMにプレゼントされることもありませんでした。踊りの邪魔になる無駄なアクセサリーはつけないようにしたのかな?
そんなマノンに、愛情が全てのデグリューは不満を爆発させる。片方だけのブレスレットをマノンから取り上げる。
マノンもデ・グリューへの愛からそれを諦める。
二人のパ・ド・ドゥは本当に隙がない。ブラーヴィ!

そこへ、GMが警官と共に現れ、手錠をかけられたレスコーを引き出す。ボロボロになった兄の姿に取り乱すマノン。GMに殴られるレスコー。駆け寄ろうとするマノンを抑えるデ・グリュー。そして、レスコーはマノンの目の前でGMに射殺される。

○第3幕
所変わってニューオリンズ。淡いブルーを基調にした衣装の男女が優雅に談笑。中には乞食もいる。そこへ船が到着し、奴隷となった若い女性たちがやってくる。
帽子を被り口髭のあるズービン/看守は、ちょっと見、クラーク・ゲーブル風。看守は、捉えられた女性たちを吟味。
最後に、デ・グリューに抱えられたマノンがやってくる。
ヴィシの生脚を期待していたけれど、今回もタイツ。ABTはタイツ派なのかな?ロイヤルでは、ロホ以外は生脚だったのに。私としては、ヴィシやギエムのようなスジ脚ダンサーには、是非、生脚マノンでやってほしいけど。
ザンバラのショートヘアになって汚れた服を着たマノンは、見違えるほどボロボロ。それでも、隠せない色気のマノンに看守は目をつける。
デ・グリューからマノンを引き離し、駐屯兵に連行させる。慌ててマノンを追いかけるデ・グリュー。

看守の部屋。机で書き物をしている看守の前に、駐屯兵たちがマノンを連れてくる。
駐屯兵が去るまでは無関心を装う看守だけれど、心の中には欲望がムラムラ。
マノンの罪状を書き留め、マノンにGMのブレスレットを見せる。「お前は、このために身を売ったんだな」というように。マノンに言い寄る看守。逃れようとするが、弱りきったマノンは看守にねじ伏せられる。ズービン/看守は、前日ほどいやらしくなかった。脚を撫で上げるのも、片方の脚だけ。後ろ向きで、マノンの顔の前に立ちはだかるときも、さらりと流し気味。私が観た中で一番エロかったのは、ロホのとき。事が終わったとき、ロホ/マノンは口を手で拭う演技をしていた(^_^;)短いシーンだけど、かなり過激な表現が含まれている(^_^;)
抱き着こうとする看守に抵抗するマノン。そこへ、ゴメス/デ・グリューが駆け込んできて、看守を刺し殺す。殺人を犯してしまったデ・グリューとマノンは逃げだす。

沼地に逃げ込んだヴィシ/マノンは、顔や腕に汚れメイクを施していて、さらにボロボロ感が増していた。そうそう、沼地マノンはこれでなきゃ!(^^)!ザンバラ髪にボロ服に汚れた顔。マノンの悲劇の幕切れにふさわしい。
過去の幻影たちが通り過ぎる中、弱りきった二人は絶望のパ・ド・ドゥを踊る。ヴィシ/マノンは、ケントよりぐにゃぐにゃ感があって、弱りきった様子。
死ぬ時も、ケントはいつ死んだかわかりやすかったけれど、ヴィシは、ゴメスが気づかないのもわかるほど、消え入るように死んでいた。
ようやっとマノンの死に気づいたゴメス/デ・グリュー、マノンに取りすがり、そして天を仰いで激しく慟哭。

全編を通して、ヴィシとゴメスは見事なパートーなーリンクで、マクミランの振付を流れるようにこなし、完全に感情を踊りに溶け込ませていた。二人の息の合ったパ・ド・ドゥにはケミストリーがあり、踊りと共に二人の感情の高まりが観客にも伝わった。まったくパーフェクトとしか言いようがない。
カテコで、ゴメスがヴィシの肩を抱き寄せ、キスしていた様子からも、とても気が合っているんだなと思った。
もし、初日にこの二人の「マノン」を観ていたら、楽日のチケットも買ってしまったかも。残念ながら楽日しか観ていないけれど、何度でも観たい。この二人の「マノン」をDVD化してくれたら是非欲しい!

楽日なので、カテコでは、紙ふぶきと風船が上から落ちてきて、ヴィシがマジでビックリしていた(^_^;)そこでようやく笑顔になったヴィシ。
卓越したテクニックはもとより、ドラマ性も十分身についたヴィシ。円熟期に達しつつある彼女はマノンそのもので本当に圧巻でした。数々の名ダンサーとの共演で、進化をとげてきたヴィシですが、ゴメスとの相性もバッチリで、しばらくこのパートナーでドラマティック・バレエを上演して欲しいと思いました。

余談ですが、公演後、友人と上野駅構内で夕食を食べ、帰ろうとしたら、改札からガイジンの集団が。友人が「あの集団ABTじゃない?あそこにいるのシムキンじゃない?」と言うので、見ると、なんとガイジン集団の中にシムキンが!!
シムキン、コール・ドと一緒に電車で帰るんですね(^_^;)
生シムキンを間近で見られましたが、私が帰るのとは違うホームに降りていってしまいました。その後の友人のリサーチによると、東京駅方面に行ったかも??だそう。ホテルがそっちのほうなのかしらん。
ちょっとしたサプライズでした!(^^)!

さらにオマケですが、シムキンのファニー動画” Simkin and the city”(←タイトルは某映画のパクリ(^_^;)には、ウケた。街中でバジルを真顔で踊るシムキンに、思わず十市さんを連想してしまった。アホさ加減が十市さん並み(^_^;)
これの十市さんバージョンを作ってくれないかな(^_^;)エッフェル塔や凱旋門を背景にとか、ルーブル美術館を一般客の中で真顔で踊るとか。”Juichi and the city” を観てみたい(^_^;)
レスコーを見ながら、何度もFunnyシムキンが頭をよぎってしまった(^_^;)

ようやく書き終わった「マノン」2公演。長かった〜。

posted by ひつじ at 18:19| Comment(4) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、レポートとても楽しく一気読みさせて頂きました!他キャストとの比較を含め、とても丁寧に分析されていて、なるほどーと膝を打つことばかりです。私は初日と千秋楽行ったのでよく見ていたつもりでしたが、そう言われればそうだった!と拝見してはじめて思い起こすこと多かったです。

寝室のPDD、ケミストリーの花火とは、ほんとに言い得て妙です。踊りと感情の融合が完璧で、つくづく、この2人の舞台は現代の至宝だなあと思いました!DVD化を切望します。

これからも楽しみに拝見させていただきたいと思います。
Posted by ballet_bear at 2014年03月15日 11:15
Ballet bearさん、はじめまして!
コメントの返信遅くなり大変失礼いたしました(汗)
コメントを下さる方も少ないので、チェックが遅れてしまいました。
拙ブログにコメント頂きまして、ありがとうございました。
Ballet bearさんの記事も拝読させていただきましたヨ♪ゴメスへの熱い熱い愛情を感じました!(^^)!
Ballet bearさんのほうが、ずーっと詳しくて、その分析力、文章力に感動しました。(それも、ゴメスへの一途な愛情の強さの表れですね)
海外公演まで遠征されるなんて、すごい!
私は国内で観るのもやっとですが、またおヒマがあるとき、覗きにいらしてくださいネ。

Posted by ひつじ at 2014年03月22日 15:49
私のブログもご覧頂いてありがとうございました!いえいえ〜、ほんと拙い文章でお恥ずかしい限りです〜f(^o^;)気持ちはあれどなかなかうまくまとめられないです(> <)
ゴメスおっかけして海外までとは、自分でもやりすぎだな〜と思いますが、観光もできるし一石二鳥ということにしています^^;
今後共よろしくお願いいたしますm(_ _)m またちょくちょく覗かせて頂きます☆☆
Posted by ballet_kuma at 2014年03月23日 02:16
ballet kumaさん、再びありがとうございます♪
十分、うまく文章をまとめられていますヨ!
そして、文章の隅々にゴメス愛が感じられます!(^^)!
私は、あれこれつまみ食いですぅ(^_^;)
自分は踊れないくせに、生意気な感想を書いてしまうときもあるので、なにとぞご勘弁を。
こんなブログですが、またお気軽に遊びにいらしてください♪
Posted by ひつじ at 2014年03月24日 22:20
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