2013年12月08日

美術展紀行〜ターナー展〜

ターナー展
2013年10月8日〜12月18日/東京都美術館

久々のブログ・アップです。
実は11末から体調を崩し、大分前に行ったターナー展の記事がアップできませんでした。
年末になると一年の疲れが出るのか、毎年のように体調を崩します。
今回は特に原因不明で苦しみました(^_^;)
まぁ、たぶん疲れによるものでしょう。
年々、体が弱くなるなぁ〜、と散りゆく銀杏の葉を眺めながらしみじみ。
感傷はさておき。今回も図録を買っていないので、画像はあまり載せられません。




○「月光、ミルバンクより眺めた習作」
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ターナ―初期の作品。
夜の景色の中に煌煌と照る満月が浮かんでいます。川面には、月の光が照り映え、舟の帆や川岸の木々、遠景の街がシルエットとなっています。
月の右上には金星でしょうか、小さな星も見えます。
暗色の世界の中で月の美しい白さが一際引き立つ作品。

○「バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」
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ターナー23歳のときの作品で、ロイヤル・アカデミー展に出展されました。
霧がかった暗い景色に、一筋の虹が掛かっています。
バターミア湖は、イギリス湖水地方の湖。
ターナーは、前回ブログに取り上げたダーウェント湖も描いています。
これら湖水地方一帯はカンバーランドと呼ばれ、大小無数の湖が点在するイギリス屈指の美しい地方。湖水地方についても過去ログに載せているので、コチラへ。

○「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」
力強くうねる波の迫力。帆をはらむマスト。帆船の雄姿が描かれています。
ターナーらしい海の景色です。

○「ヴァティカンから望むローマ、ラフォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」
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チラシの小さな絵を撮ったので見えなさすぎで、すみません。
ターナーは、1819年と1828年にイタリアへグランド・ツアーの旅をしています。
特に2度目は、ローマにアトリエを構え作品制作を行いました。
ヴァティカンからの眺望を描いた作品。
ヴァティカンの回廊からは、サン・ピエトロ広場、サンタンジェロ城、アペニン山脈まで見渡せます。
興味深いのは、恋人を伴ったラファエロを描いていること。
ラファエロの近くには、「子椅子の聖母」の絵が置かれています。
ラファエロがこの作品をローマに持ってきたかどうかはわかりませんが、巨匠の代表作を描くことでイタリアの巨匠に敬意を表しているのでしょう。
ラファエロは海外の画家からも尊敬を集め、アングルもラファエロとフォルナリーナを描いています。

○「ローマの壁とカイウス・ケスティウスの墓」
月に照らされた白いピラミデ(ピラミッド)は、ローマ法務官であったカイウス・ケスティウスの墓で紀元前12Cに作られたもの。ピラミデに隣接するのは、イギリス詩人キーツやシェリーも眠るイギリス人墓地。白い墓石が立ち並んでいます。
ピラミデについては、過去ログで少々触れました。
ターナーは、同郷の詩人が眠る墓地を描いたのです。墓地の手前には、ジプシーらしき人々が騒いでいます。
墓場の静寂と対照的な光景。

○「レグルス」
DSCN6812 (640x480).jpg
これも小さすぎで見えずに、すみません。
クロード・ロラン風の作品だと思ったら、やはりロランに影響を受けて描かれたそう。
古代建築に囲まれた海と、そこに昇る太陽。
右手前に膝まづくレグルスらしき人物が見えます。
レグルスは第一次ポエニ戦争で活躍したローマの将軍だとか。カルタゴで捕虜となり、暗い地下牢で瞼を切り取られ、その後、牢獄からひきずり出され、陽光にさらされ失明してしまったそう。ひ〜、残酷(>_<)痛々しすぎる。
画面に放たれる眩しすぎる光は、あたかも観者がレグルスとなったかのように、観る者の目を射ぬくような強さで迫ってきます。

○「チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア」
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広がる青空には、傘のように枝葉を広げるローマの松が黒々と描かれています。
画面下には廃墟や川が流れ、人々がシーツを広げバスケットを並べ、ピクニックよろしく浮かれ騒ぐ様子が描かれています。
「チャイルド・ハロルドの巡礼」とは、イギリスの詩人バイロンの作品。
その作品をターナーは絵にしたのです。

○「ヴェネツィア、嘆きの橋」
白い嘆きの橋とドゥカーレ宮殿が、あたかも亡霊のようにアドリア海から姿を現わしています。
ヴェネツィアといえば、やはり詩人バイロンの「ヴェニスにて」を思い出さずにはいられません。過去ログにも取り上げたので、興味のある方はそちらもどうぞ。なんだか過去ログの紹介ばかり。ネタが尽きてきたか(^_^;)ま、私の興味のある範囲は、グルグル繋がっているということです(^_^;)
ターナーは、イタリアを旅しながらも、同郷の詩人たちの足跡を辿り、彼らに想いを馳せていたのでしょう。

イギリスのテート・ギャラリー(テート・ブリテン)でターナー・コレクションを見たことがあるので、今回はいくら大回顧展といえど、完成作品が少なかったという印象は否めませんでした。ま、それも仕方ありませんね。テートも、そんなに沢山の名作を一挙に日本へ流出させるわけにはいかないでしょうから。

ターナーの作品を追っていって感じたのは、彼の色は、青、黄土色、そして、赤茶色が基本色なのではないかということ。水彩による習作などを見ていると、その三色が見えてきます。特に、赤茶色が彼独特の色合いを作品に与えている気がします。これぞターナー色?!そんな風に思って見ていたら、会場にターナーの使っていた絵具箱が展示されていて、そこに、ターナーが好んで使った顔料は、ウルトラマリン、クローム・イエロー、ヴァーミリオンであると書いてありました。なるほど納得。
ターナーは独自の色でもって、渦巻く大気の情景を描き出した画家。目で捉えることのできない世界を目に見える世界に表した画家なのです。


posted by ひつじ at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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