2013年11月07日

ダーウェントの思い出


知り合いがステッドラーの鉛筆セットを買ったと言ったので、私も鉛筆セットを買おうと思い、渋谷のウエマツで「鉛筆セットを買いたいのですが」と店員さんに尋ねた。
店員さんが案内したところには、ステッドラーのものとダーウェントのものの2種類があった。
ダーウェント!
思わず声に出してしまった。
ダーウェントと言えば、懐かしい思い出がある。
店員さんに、製品の違いを訊ねると「ステッドラーは硬い感じ。ダーウェントはもう少し柔らかい感じ」との答えだった。
ドイツ製のステッドラーは、いかにも硬い感じがする。それがそのまま書き心地にも出るのだろう。
イギリス製のダーウェントは、あの景色から生み出されたのであれば、柔らさがあるのもうなづける。
日本では、ステッドラーのほうが有名だが、私はあえてダーウェントの鉛筆を選んだ。

DSCN6544 (640x480).jpg←ダーウェントの鉛筆セット



ダーウェントは、イギリス・湖水地方にある湖の名前でもある。
Derwent waterという湖は、ビアトリクス・ポターの「リスのナトキンのおはなし」に出てくるふくろう島がある湖である。
ダーウェント湖のほとりには、Keswickという街が広がっている。
湖水地方のコテージに滞在していた頃、ドイツ人のルームメイトとそのKeswickに行くことになった。
バスを乗りついで、Keswickへ。
ウィンダミアほどではないが、周りに何もないコテージに暮らしていると、Keswickはそこそこ大きな街に感じる。
私は土産物屋をブラブラ覗ければいいと思ってやってきたのだが、ルームメイトといざ解散、自由行動という段になると、ルームメイトが「街はずれに、ペンシル・ミュージアムがあるから行ってくるといい」と薦めた。
ルームメイトは、紙に簡単な地図を書いて「私は以前行ったことがあるから」と言い、地図をくれた。
街のシンボルである時計塔(インフォメーション)の前で集合する約束をして、ルームメイトと別れた。
私の手には、ルームメイトが書いてくれた地図。
街はずれにあるペンシル・ミュージアムなんて、ほとんど私の興味をひかなかったが、自由行動の後、ルームメイトはきっとペンシル・ミュージアムに行ったかを聞くだろう。そのとき「行かなかった」というのもバツが悪い。
仕方なしに、地図を頼りに道を歩いた。
街を抜け、田舎道を歩いていくと、ペンシル・ミュージアムがひっそりと佇んでいた。
ミュージアムというより工場といった感じだ。
チケットを買い中へ入ると、本当に工場の中のようで、装飾性の全くないガランとした部屋に、鉛筆ができるまでの工程が展示されていた。
見学者は、他に白人が数人。日本からわざわざここを訪れる人もそうそういないだろう。
ダーウェントは黒鉛の産出場所だそうで、それゆえ鉛筆が製造されるようになったのだとか。
鉛筆製造過程を追っていくと、最後に売店に出る。
入る前は、さして興味もなかったのだが、製造過程を見て、その後に売店にズラリと並ぶ豊富な色鉛筆を見てしまうと、すっかりハマってしまった。
数本買うつもりが、結局12本も買うことに。
そのカラーバリエーションの豊富なこと。
当時の日本で、こんなに繊細な色の違いがある色鉛筆は見たことがなかった。
その繊細なグラデーションにすっかりハマってしまったのだ。
まるで湖水地方の柔らかな自然の色を閉じ込めたような色鉛筆。
街の時計塔で再会したルームメイトは、予想通り「ペンシル・ミュージアムには行った?」と聞いてきた。「行ってきた」と答え、買った色鉛筆を見せた。
日本に帰って色鉛筆を使うたびに、湖水地方の美しい自然の色を思い出す。

DSCN6704 (480x640).jpg←ペンシル・ミュージアムで買ったダーウェントの色鉛筆

ダーウェントはイギリスの一メーカーにすぎないのかと思っていたが、帰国後、世界堂の色鉛筆コーナーでダーウェントの色鉛筆を発見!
どうやらイギリスを代表する鉛筆メーカーらしい。
「スノーマン」の絵も、ダーウェントの色鉛筆で描かれているとか。
だが、日本に入ってくる色のバリエーションは非常に少なく、やはり湖水地方で見たカラーバリエーションには及ばなかった。
何年か後に世界堂に行ったら、もうダーウェントの色鉛筆はなくなっていた。
やはり日本ではマイナーなのだろう。
もう日本でダーウェントの製品を見る機会はないだろうと思っていたところに、ウエマツで出会った鉛筆セット。
これも何かの縁なのかもしれない。
使ってみると、やはり書き心地が柔らかい。
湖水地方のあの景色のように・・・。

DSCN5281 (480x640).jpg←ダーウェントの鉛筆で描いた模写、ダヴィンチの「ほつれ髪の女」
posted by ひつじ at 17:51| Comment(2) | TrackBack(0) | カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶりです。
秋を通りこして、冬の寒さですね。

ダーウェントで書いた「ほつれ髪の女」の
やわらかな髪と目と口がいいですね。

私はステッドラーは知っていたのですが
ダーウェントは知りませんでした。

そして、その鉛筆が
イギリスの湖水地方で作られていることや
スノーマンの絵も、その色鉛筆で描かれていることなどを
知って、ダーウェントの鉛筆、色鉛筆を実際
見て使ってみたくなりました。

それに、ペンシルミュージアムもとても気になりました。
ドラえもんのどこでもドアがあったらな〜(^−^)

寒くなりましたので、お体に気をつけて☆
それでは、また。
Posted by こたろう at 2013年11月13日 16:18
こたろうさん、コメントありがとうございます♪
返事が遅くなってごめんなさい!!
しばらくブログを開いていなかったもので、気づくのが遅れました(汗)

確かにダーウェントはあまり知られていないですね。
私も、湖水地方でダーウェントのミュージアム(工場?)に行かなければ、知りませんでした。

スノーマンの絵、そう思ってみると、湖水地方の自然から生み出されたような優しさがありますネ。

どこでもドアがあったら、こたろうさんにも行ってほしいくらいです(^^)
私も、どこでもドアが欲し〜い!

本当に今年は変な気候で、夏の次が冬という感じですね。
こたろうさんも、お体にお気をつけてくださいネ。


Posted by ひつじ at 2013年11月25日 21:44
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/390984668
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック