2013年09月30日

バレエ末席物語〜「ロミオとジュリエット」コジョカル&フォーゲル〜

「ロミオとジュリエット」
2013年9月22日

ロミオ・・・フリーデマン・フォーゲル
ジュリエット・・・アリーナ・コジョカル
マキューシオ・・・アントニーノ・ステラ
ティボルト・・・ミック・ゼーニ
ベンヴォーリオ・・・マルコ・アゴスティーノ
パリス・・・リッカルド・マッシミ
他 ミラノ・スカラ座バレエ団

アップが遅くなりましたが、先週、ミラノ・スカラ座公演を観てきました。
英国ロイヤル公演で降板したコジョカル。今回も降板覚悟でしたが、出演してくれました♪
フォーゲル君ロミオも楽しみでした。



【第1幕】
幕が上がると、舞台後方にローマの円形劇場のような階段のセットが。
その階段からマンドリンを持ったフォーゲル/ロミオも登場。
愛しのロザリンデの後を追いまわします。
広場では、野菜や魚、肉を売っていて、村娘たちや男たちが陽気に踊っています。
村娘たちは皆白っぽい衣装で、踊るたびにスカートがフワッとなり、カラフルな衣装の中で白がかえって目立ちました。
三人の娼婦が現れ、ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオに抱き着きキスをしたり戯れます。そんな奔放な娼婦たちに村娘たちが怒って、娼婦を追い出そうとしたり。

フォーゲルくん、前より大人っぽくなった、というか体が大きくなったように感じました。脇が小柄なミラノ・ダンサーだからかもしれませんが。
身体に見合う大きな踊り。長い脚が美しいラインを描きます。
前髪を下したフォーゲルくんは、ロミオそのもの。
友人も言っていましたが、なんとなく垢抜けない感じがフォーゲル/ロミオの良い点かも(^_^;)
ABTで見たデビ/ロミオは、品が良くて王子様のようなロミオだったけれど、フォーゲル/ロミオは素朴で自然体なロミオ。

お祭り騒ぎの中に、ロミオたちの宿敵であるキャピュレット家のティボルトが仲間を引き連れ、決闘を挑みに来ます。ロミオたちは緑、ティボルト側は赤い衣装で、衣装の色で、それぞれのキャラクターを表しているようです。ティボルト役のミック・ゼーニ、口髭を生やし、憎々し気な役回りけれど、かなりイケメン(^_^;)
若者たちの決闘が始まると、キャピュレット公とモンタギュー公も現れ、剣を交えます。
そこへ、大公のお出まし。
両家の犠牲者を真ん中に積み上げさせると、両家の和解をうながします。
キャピュレット夫人とモンタギュー夫人が、大公の手前渋々挨拶。

場面が変わると、ジュリエットの部屋。乳母がジュリエットを探しにやってきますが。ジュリエットはいません。
乳母を驚かすようにコジョカル/ジュリエットが勢いよく登場。(やっと観られたコジョカル(T_T)
ピンクの少女らしい衣装のコジョカルは、まったくジュリエットそのまんま。可憐すぎる〜(*^_^*)ロミオじゃないけど、その可憐さと軽やかな踊りに一目惚れ。
人形を使って乳母をからかう寸劇の後、両親とパリスがやってきます。
白い衣装のパリス、リッカルド・マッシミもなかなかのイケメン。そんなに悪くないお見合い相手だと思うけどな〜。
パリスがジュリエットの手に挨拶のキスをしようとすると、コジョカル/ジュリエットは恥ずかしがって逃げ、乳母の後ろに隠れます。
両親とパリスが去ると、乳母がジュリエットの胸元に手をあて「もう子供じゃないのよ」と悟し、困惑するジュリエット。

場面は、キャピュレット家の表門へ。
ここも書き割りではなく、大理石調の石造りの重厚な壁に柱やオジー・アーチがきちんとレリーフになっていて、ブロンズの重そうな扉もついていて、本物志向。
赤と紫を基調にした貴族たちが登場し、次々門の中へ。
輿に乗ったロザリンデも登場。
ロミオ三人組は、アイマスクで顔を隠しキャピュレット家の夜会に潜入。
機を狙ってロザリンデに近づこうとするロミオ。
華々しい貴族たちの踊り。
舞踏の間は、赤いキャンドルが灯され、ロッビアの彩色陶器にありそうな花綱装飾が飾られていました。
赤と紫の中世の衣装で踊る群舞は壮観で、さすがファッションの街ミラノのセンスを感じさせます。
個人的には、クッションを持って踊るのが好きだけど。
白地にピンクの柄の衣装のジュリエットが登場。派手な色合いの中に咲いた可憐な一輪の白バラのよう。パリスに挨拶されパリスと踊るも、ロミオと目が合うとお互い一目で惹かれあう。
私でさえ惚れてしまうんだから、ロミオならコジョカル/ジュリエットに惚れないわけがない。
ジュリエットがマンドリンを奏でると、自分をアピールするように踊るフォーゲル/ロミオ。
舞踏の合間を縫って、ロミオとジュリエットは互いの顔を見つめながら踊る。が、パリス他に引き離されてしまう。
舞踏会が終わり、一人になったジュリエットの元にロミオが現れる。
運命の恋に落ちた二人のパ・ド・ドゥ。
それもつかの間、ティボルトが現れ、二人を怪しむ。
ロミオを逃がすジュリエット。

場面変わってジュリエットの部屋のバルコニー。
前日もマチソワした友人から、「バルコニーはベローナにあるジュリエットのバルコニーそっくりだった」と聞いていましたが、本当にあの狭いバルコニーでした。
部屋からバルコニーへ出てきたコジョカル/ジュリエットは、ロミオを想い、一人うっとりと手すりにもたれます。

暗闇に青いマントを翻しロミオが現れます。ジュリエットはロミオに気づくと外階段を駆け下ります。わざと隠れるロミオ。ロミオを探すジュリエット。
ようやく出会えた二人。ジュリエットは、ロミオの手を自分の胸に当て、ドキドキ感を伝えます。ジュリエットへの抑えきれない恋心をダイナミックに表現して踊るフォーゲル/ロミオ。風のように軽やかなコジョカル/ジュリエット。ロミオへのダイブも躊躇せず。
二人の体格差があるので、身長のあるフォーゲル君が小柄なコジョカルをサポートするのは軽々。とても安心感があります。
コジョカルは本当に軽やかで背中も柔らかくよく反るし、脚の上下も軽々。
この風のような軽やかさは、まるで妖精のよう。
怪我で降板が多く滅多に観られないコジョカルだけに、SWANのリリアナのようだなと思ってしまいました(^_^;)
コジョカルの実年齢を思い出しても、このジュリエットは正真正銘、恋を知ったばかりの十代の可憐な少女。フェリなき後、個人的には最高のジュリエットだと思います。
ラストのキスは、同じマクミラン振付だけど、他のカンパニーにはないほど、濃厚(?)なキスでした(^_^;)
他のカンパニーでは、ロミオに初めてキスをされて驚き恥じらうジュリエットという演技ですが、ミラノ版は、ジュリエットもロミオの首に腕を回し、積極的なキス(^_^;)
友人が、「イタリアはやっぱり情熱的なのかな」と言っていました。ミラノ版はこういうキスなのね(^_^;)
別れの時がきて、階段を駆け上がり、バルコニーから手を伸ばすジュリエットと背伸びして手を伸ばすロミオの前に幕。

【第2幕】
街の広場で人々が賑やかに踊っています。ジュリエットに心奪われたロミオは、娼婦が言い寄っても興味を示さない。しつこく迫られて一緒に踊ります。
マキューシオ役のアントニーノ・ステラはキレがあってとても上手い。ソロもキレキレでした。
ミラノにもこんなダンサーがいたのね〜、と思っていたら、友人が、ザハロワ&ボッレの白鳥で道化をやっていたダンサーと教えてくれました。
結婚式を終えたたばかりの新婚カップルが登場。
悲劇の結末を知らないロミオにとっては、ジュリエットとの恋を幸せいっぱいの新婚カップルに重ねて見たのかもしれません。
そこへ、ジュリエットの乳母がロミオを探して広場へ。
ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオは、自分こそロミオだと言って乳母を混乱させからかいます。乳母のスカートをまくったり、頬にキスしたり、最後はロミオに濃厚なキスをされひっくり返る乳母。ロミオは乳母の持ってきた手紙を奪って読む。ジュリエットからの言葉に歓喜し、ジュリエットの元に走り去るロミオ。

教会の場面へ。
キャンドルの灯る礼拝堂には、貧しい修道僧がいます。(広場の新婚カップルを結びつけた立派な法衣の神父とは大違い(^_^;)
礼拝堂の上には、チマブーエのタブローそっくりの磔刑図が掛けられていて、感動。さすが本家本元。
ロレンス修道僧の元に駆け寄るロミオ。そこに、乳母に導かれ、ベールを被ったジュリエットが現れます。神父の前で愛を誓う二人。二人は夫婦になったのです。
幸せを噛みしめつつも、別れる二人。

再び場面は陽気な活気漲る広場へ。
ティボルトが現れロミオに決闘を挑みますが、ジュリエットと秘密結婚したばかりのロミオは、ティボルトと争いたくありません。
かわりにマキューシオが、ティボルトの相手をします。
マキューシオはティボルトの剣を振り落とし優勢になります。
自慢げなマキューシオに決闘をやめさせようとするロミオ。そこへ、ティボルトが背後からマキューシオを刺す。後ろから刺すとは卑怯者。
ここから、ステラ/マキューシオの一人舞台。苦しみながらも平静を装うマキューシオ。
ロミオが気付けの飲ませた酒を吐き、マキューシオはロミオとティボルト二人を指差し、仇を打つよう命じて息絶える。
親友の死に、ロミオは剣を取って闘う。
余談ですが、このフェンシング・ポーズ、デビ君は、剣を持っていない腕を綺麗に上に挙げた形を常に保ったまま闘っていてカッコよかったです(*^_^*)
もちろんフォーゲル君も悪くはなかったけど。
結局、ティボルトはロミオの剣に倒れ、そこへキャピュレット夫人が現れ、激しく嘆き悲しみ、ロミオを憎む。両家の亀裂はもはや埋めがたいものとなり、走り去るロミオ。

【第3幕】
ジュリエットの寝室で寄り添うロミオとジュリエット。眠るジュリエットをフォーゲル/ロミオは愛おしそうに撫で、額にキスをする。
ジュリエットのベッドは石造りで、彫刻が施されているところからも、これがそのまま石棺になるんだろうなと連想させます。
朝がきて、ロミオがマントを羽織って立ち去ろうとすると、ジュリエットが目を覚ます。
ロミオを引き留めるジュリエット。
愛情あふれる二人のパ・ド・ドゥ。もうこの二人は完璧にロミオでありジュリエットである。Perfetto!
別れを惜しみながら去るロミオ。
両親とパリスが現れ、ロミオの妻となったジュリエットは激しくパリスを拒否。
両親にパリスとの結婚を取りやめてくれるよう懇願するが、母親は聞く耳持たず、父親は激怒。両親とパリスはジュリエットを残して部屋を去る。
ベッドに座りこみ、どうにもならない絶望に打ちひしがれるジュリエット。
ふと、ロレンス修道僧を思い出し、最後の望みを託して部屋を走り出る。

磔刑図のある礼拝堂。修道僧のもとに駆け寄り悩みを打ち明けるジュリエット。
修道僧は小瓶を持ってくると、ジュリエットにこれを飲むよう勧めます。仮死状態になる薬瓶と聞いて、恐れるジュリエット。
二人は膝まづいて神に祈りを捧げます。
舞台は、そのままジュリエットの寝室へ。

薬を恐れていると、両親とパリスが再び、寝室へ。慌てて枕の下に薬瓶を隠します。パリスとの結婚を強いる両親に、諦めたように従うジュリエット。
一人残されたジュリエットは、薬瓶を取り出し、個人祭壇に祈りを捧げて薬を飲みます。
薬が効き、四肢が麻痺してくる中、ベッドに這い上がって倒れ込む。
ジュリエットの友人たちが現れ、結婚を祝って踊りますが、いっこうに目覚めないジュリエットの額に手を当てると、冷たくなっているのに驚きます。
そこへ花嫁衣裳を持った乳母が現れますが、ジュリエットの死を知ってショックを受ける。
(このときの花嫁衣裳、2幕の舞踏会で着た白地にピンクの柄の衣装で、これくらいちゃんと白いウェディングドレス風の衣装を用意すればいいのに、と思ってしまいました(^_^;)
やってきた両親も、ジュリエットの死を知って悲しむ。
(でも、キャピュレット夫人、娘の死より甥のティボルトの死のほうを激しく悲しんでいるのがいつもフシギ(^_^;)

予想通り、ジュリエットのベッドはそのまま棺台になり、白いシーツが黒いシーツに変わっていました。
ジュリエットを囲む両親と乳母、婚約者パリス。
両親と乳母が去っても名残惜しむパリス。
そこへロミオが現れパリスを刺殺。ジュリエットが死んだのは、パリスとの結婚を強いられ絶望したせいだと思っているのです。

フォーゲル/ロミオ、ジュリエットの亡骸を抱えて踊ります。バルコニーで踊った二人のパ・ド・ドゥを踊ろうとするも、愛しのジュリエットはもはや動きません。人形のように振り回されるコジョカル/ジュリエット。
絶望したロミオはジュリエットを棺台に寝かせ、その脇で毒を飲んで倒れ息絶えます。
ジュリエットなしでは生きられなかったロミオの純愛。
ロミオが息絶えると同時に、ジュリエットの右手がピクリと動きます。
薬が切れて、仮死状態から生き返ったジュリエット。
気づくと暗い墓所であることに驚き恐れるジュリエット。
棺台から降り、パリスの遺体に気づくと、恐怖に取り乱し、墓所から逃げ出そうとしますが、格子窓は開きません。このセットも、墓所の閉塞感が出ています。

ロミオの遺体に気づきショックを受けるジュリエット。ロミオの亡骸をかき抱き踊ろうとしますが、もはや動かないロミオ。
絶望したジュリエットは、パリスのそばに落ちていた剣を自らの心臓に突き刺します。
最後の力をふりしぼって棺台に這い上がりロミオに手を伸ばしますが、届かずに息絶えるジュリエット。そして、幕。

今回のコジョカル/ジュリエットは、フェリに並ぶ素晴らしいジュリエットで、コジョカルの可憐さに惚れまくりでした。フォーゲル君もロミオそのままだし。
いつもロミジュリを見ると、二人の悲劇になんだか気持ちが落ち込んでしまうのですが、今回は、あまりにハマりすぎの二人に夢中で感動のほうが勝っていました。
何度か書いたように、セットのどれもが、単なる「舞台装置」ではなく、現実のイタリアの建物や美術品を模しているので、この物語そのものが、あたかも現実に目の前で起こっている出来事のように感じました。観客は架空の物語を観ているというより、本物の中世のイタリアに迷い込んだような感覚になるのです。
ロミジュリの二人も、ミラノのダンサーも、ミラノの衣装のセンスも、本物志向の舞台装置も全てが素晴らしい舞台でした。Bravi!

posted by ひつじ at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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