2013年07月21日

バレエ末席物語〜「白鳥の湖」ラム&マックレー〜

「白鳥の湖」
2013年7月12日

オデット/オディール・・・サラ・ラム
ジークフリート・・・スティーヴン・マックレー
女王・・・ジェネシア・ロサート
ロットバルト・・・ギャリー・エイヴィス
ほか 英国バレエ団

アップが遅くなりましたが、ロイヤル公演を観てきました。
「アリス」はあまり興味をひかれなかったので、白鳥のみ。
この日は、コジョカル&コボーペアの予定でした。
コジョカル見たさにチケットを取ったのですが、コジョカルとコボーが怪我のため降板。
代役にマルケスとマックレーのはずでしたが、マルケスも怪我で降板。
サラ・ラムが代役になりました。
2008年のロイヤル公演でも、コジョカルが怪我で降板。代役はマルケスでした。
コジョカルの悲劇再び(T_T)
よほどコジョカル運がないんだなぁ。
ミラノ公演まで降板したら、コジョカル公演のチケットはもう怖くて取れないかも。



○第1幕
英国ロイヤルの白鳥を観るのは初見。(自分でもこの公演を観て初めて気づいた)
衣裳やセットがとても個性的。
宮殿の庭で宴と思いきや、色とりどりのカラーボールで飾りつけられたカーニバル風セット。小道具も色々取り揃え、芸が細かい。
コール・ドたちの衣装は18世紀くらいの新しい時代の衣装。男性の衣装は、詰襟の士官風だし。マックレー王子も同じく詰襟士官風。
女王も、落ち着いたピンクと水色のバッスル・スタイルのドレスです。

踊りが、プティパ/イワーノフ版とかなり違っていました。チラシを見たら、ワルツはビントレーの振付だとか。へ〜、なるほど。
パ・ド・トロワでは、崔さんが一番良かった。緩急があって余裕の踊り。脚の安定感もありました。さすが主役もやるほどの実力の持ち主ですね。
高田さんも頑張っていました。ヘイくんも、頑張っていましたが、着地がやや乱れる。

この版には道化が出てこないので、見せ場がなくて残念。
道化一人舞台のシーンでは、少女二人がくるくる回って、最後は、小さい子のほうがマックレー王子に抱き上げられて終わり。個人的に、子供と着ぐるみが出てくるとシラケてしまうタチなので、こういう演出は苦手。
王子のソロでは、マックレー、これでもかというくらい張り切って踊っていました。
ザン・レールやシェネなど綺麗にまとまって、「代役」どころか「今日は俺様の踊りを観られてラッキーだろ?」くらいの負けん気の強さが出ていました。その負けん気の強さに、思わず、くまもん、じゃなかった、熊川さんを連想してしまいました(^_^;)
ま、主役降板でも観客をがっかりさせない踊り、いや、それ以上を見せてくれるのは嬉しいことです。

この版では、女王が王子に弓矢を贈っていませんでした。
贈り物がないと、王子の誕生日という設定がわかりづらいし、「もう大人なんだから遊んでばかりいないで、妃を娶って落ち着きなさい」という女王に説得力がない感じ。
宴も終わりに近づいたころ、白鳥が飛ぶのを見た王子と仲間たちは、弓矢を持って狩りへ。

○第2幕
通常、この二幕は、王子一人が白鳥に出会うことになっていますが、この版では仲間が数人いて、すでにオデットと知り合った王子が、白鳥を狙おうとする仲間を制するという展開。
湖もありますが、上手には朽ちた門があり、ロットバルトの住処のよう。ワイヤー使いの個性的なセットでした。

サラ・ラムは何かの脇役で観たことがあると思いますが、印象は全くなし。
小柄で細い手足をしていますが、そのせいでかえって顔が大きく見えてしまいました。
オデットの踊りをただなぞっているだけで、白鳥の女王らしい気品もエレガンスも感じられない。この人、ロシア・ダンサーの踊りを見て、もっと学んだほうが良いかも。
気品、優美さ、内に秘めた悲しみ、芯の強さ・・・そういったものが何も感じられなかった。代役とはいえ、2日後には、自分の公演があるはずなのに・・・。
足の上がりも低く、アラスゴンドも上がりきれていない。これは、オディールとの差を出すために、わざとそうしているのかもしれませんが、それがか細さや弱弱しさを出すことには繋がらないので、もっと別の表現方法をしてほしいもの。
サポート・ピルエットの軸も不安定で、サポートに頼りすぎ。
ラムちゃん(^_^;)は、どうも脚が弱い。脚がしっかりしていないから、踊りに安定感がでないのだと思います。
この版では、オデットだけがクラシック・チュチュで、他の白鳥たちはロマンティック・チュチュでした。
コール・ドはテンポが合っていないダンサーがいたり、手や足の角度も揃っていませんでした。ま、期待してはいけませんが。
四羽の踊りは割と揃っていたのでは。

○第3幕
ワイヤーワークの豪華なセットとカラフルで個性的な衣装に目が釘付け。
ハリボテを使わず、ちゃんと立派なセットを用意してきたところは立派。
最近の引っ越し公演は、セットが簡略化しすぎなので。
衣装も、色とりどりで非常に個性的なデザイン。例えば、紺色のドレスの肩から金のワイヤーが飛び出していたり、バレエの衣装というよりパリ・コレ?と思ってしまうような斬新で個性的なデザイン。こういうセンスは、日本ではなかなかお目にかかれないので、それを眺められただけで眼福(^^)
花嫁候補の衣装は、アールヌーボー時代風の淡いピンクのドレス。仮面を持って踊ります。
ロサート女王は豪華な真っ赤なドレス。ロサートは、2005年「マノン」でマダム役を、2008年「眠り」でカラボス役を演じていました。もう若くはないけれど大人の魅力のある美しい方です。惚れ〜(*^_^*)
今回は、名前を知っているダンサーがほとんどいなくなってしまいました。「白鳥」キャストでは、崔さんとロサートとモレーラくらいかなぁ。
マッカテリは消えた?!ピッカリングはどうしたんだろ〜。

女王が花嫁を決めるよう説得するも、王子の心はここにあらず。
そこへ、ファンファーレが響き、毒々しい集団が現れます。その集団の真ん中から、ロットバルトとオディール登場。ラムちゃん/オディールは、二幕とはうって変わって活き活きとしていました。スペインの踊りは言わずもがな、チャルダッシュとマズルカも悪の手下っぽいダークな踊りで格好良かった。衣装も黒を基調とした衣装でした。
特に良かったのは、ナポリの踊り。陽気なはずのナポリの踊りですが、モレーラもいい感じに「悪」でした。このナポリの踊りは、アシュトン振付だとか。
個人的に、骸骨の被り物を被った小人(ロットバルトのお付き)が気に入った(^_^;)
ロットバルトの足元にスリスリして懐いているところが、ユーモラスで意外に可愛い(^_^;)

マックレー王子のソロはジュテも高くてマネージュもダイナミックで、グランド・ピルエットも脚の水平位置をキープしていて綺麗でした。
ラムちゃん/オディールは、やはりサポート・ピルエットでは軸足がグラグラ。サポートに頼りすぎ。でも、グラン・フェッテは前半、シンングル―シングル―ダブルを繰り返し、後半はシングル・フェッテで頑張っていました。
ただ、グラン・フェッテで力を使い果たしたようで、その後の脚の上がりがどんどん低くなっていってしまいました。そこまでピシッと決められるといいのにね。
脚の強さで言えば、マルケスのほうがしっかりしていたかな。マルケスは上半身の動きに問題があるけれど。
王子がオディールに愛を誓うと、正体をばらすロットバルトとオディールですが、この版は、すぐさまオディールが走り去るのではなく、真ん中のスモークの中で悪者どもに担がれて勝ち誇っていました。騙されオデットを裏切ってしまったマックレー王子がオデットのもとへ走り去り、舞台手前で女王が嘆き崩れるところに幕。

○第4幕
白鳥のコール・ドに交じって、黒鳥も登場。そこへ、伝令白鳥ではなく、オデット本人が登場し、王子の裏切りを涙ながらに報告します。
悲嘆にくれる白鳥たち。
後悔のマックレー王子が現れ、オデットに許しを請う。悲しみの中、オデットは王子を受け入れる。そこへ、ロットバルトが現れる。戦っては倒れ、立ち上がる。ロットバルトが悶え苦しんでいる様子だったので、二人の愛が勝つのかと思いきや、突然、オデットは王子から離れ湖に身を投げる。絶望した王子も後を追って身を投げる。二人の死をも超える愛の力の前に敗れるロットバルト。
白鳥たちが現れ、白鳥たちが見つめる湖面にはゴンドラが滑るように現れる。そこには、永遠の愛に結ばれたオデットと王子の姿が。
幸せな二人の前に幕。

ある意味、悲劇、ある意味、ハッピーエンドの終わり方です。このラストは、今ではあまりされない演出ですが、原典であるプティパ・イワノフ版を再現したもの。道化が出てこない点や、狩りにベンノたちが加わるところ、湖の上手に廃墟があるところなどもプティパ・イワノフ版を踏襲しています。
見慣れない演出にちょっと違和感はありましたが、原典に忠実な演出を観るのも貴重だったかもしれません。

個人的に言えば、今のロイヤルはやや人材不足という印象が否めません。
続報で、コジョカルはイングリッシュ・ナショナル・バレエに移籍とか。ENBといえば、クリメンタギロフ(^_^;)(クリメントワ+ムンタギロフ)がいるカンパニーではないですか!是非、今度はENBを招聘して欲しいな〜。


posted by ひつじ at 22:53| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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