2013年03月05日

バレエ末席物語〜「ジセル」クリメントヴァ&ムンタギロフ〜

「ジゼル」
2013年2月22日

ジゼル・・・ダリア・クリメントヴァ
アルベルト・・・ワディム・ムンタギロフ
ミルタ・・・堀口 純
ハンス・・・古川 和則
ほか 新国立劇場バレエ団

調子がすぐれずアップが遅くなりましたが、先月、新国の「ジゼル」を観てきました。
去年のコジョカル・ガラで観たムンタギロフ。日本初主演ということで、これは見なければ!と。今、ひつじイチオシの新人です。
今回のお目当てはムンタギロフなので、主役のクリメントヴァは、「悪くないダンサーだな」という程度の期待度でした。


○第1幕
古川さんを観るのも久しぶり。ややがっしり体型になった?
口髭を付けていると、古川さんとはわかりづらかった。新国版は、ヒラリオンではなくハンスというんですね〜。
口髭古川さん、誰かに似ているな〜と思って見ていたら、坂上 忍に似ていると思った(^_^;)最上階からだからはっきりとは見えないけど、なんとなく。

ムンさん(ムンタギロフ(^_^;)/アルベルトの登場。顔が小さく脚が長く抜群のスタイル。王子キャラが似合います。遊び人風ではないかも。

そして、クリメントヴァ/ジゼルの登場。ちょっと老け目のジゼル(失礼)。若い娘の溌剌さが感じられないので老け感を感じてしまったのかも。でも、ソフトな雰囲気で、踊りはとても安定している。軸が安定しているので、踊りに不安がない。さすがベテラン。
新国のチラシに「まるでフォンティーンとヌレエフのごとく」と書いてあると友人が教えてくれましたが、まさにそんな感じ。
若くまだ青いムンさんをベテランのダリアがリードする。良いパートナーシップだと思います。
パ・ド・ドゥでは、バロッテなどで二人の脚の高さが揃っていなく、もう少し合わせられるようになると恋人感がでるかなと思います。

クリメントヴァ、ポアント・ケンケンが余裕でした。綺麗に進みながら、上半身は身をよじってアルベルトに笑顔を向けるほどの余裕。脚と上半身の動きが別物。この人のテクの安定感は素晴らしい。

村人のパ・ド・ドゥは、東バだとパ・ド・ユイットになりますが、新国はパ・ド・ドゥなんですね〜。
女性の寺田さんはまだ良かったけれど、男性の江本さんはイマイチ。ザン・レールが一度も5番になっていなかった。

ラストの、アルベルトの素性を知り、婚約者もいるとわかったジゼルの胸引き裂かれる悲しみ。いつ観てもこの場面は感情移入してしまうのですが、今回はいつも以上に入り込んでしまい涙が(T_T)。泣いてまうやろ〜。

○第2幕

堀口さん/ミルタが予想外に上手かった。舞台を斜めに横切るパ・ド・ブレの滑らかなこと!車輪がついているみたい(^_^;)上体が全くブレない非常に美しいパ・ド・ブレでした。
アラベスクで移動するときも、脚と腕の位置が水平をきちんと保ったままでした。
指先まで神経がいっていて、ミルタらしい冷たさもでていて完璧なミルタ。ブラーバ!

ウィリのコール・ドも、揃っていました。特にアラベスクで舞台を交差する場面は綺麗に揃っていて圧巻。アラベスクの脚の位置もユラユラしませんでした。

ムンタギロフはアントルシャも5番に着地、グラン・テカールも綺麗。ソロでの踊りも綺麗だし、サポートもとても優雅でした。
若手のダンサーは、とかくソロでは才能を発揮するけれど、サポートはイマイチということが多いのですが、ムンタギロフはこの若さ(21才)で、これだけ優雅にサポートできるなんて見事。ベテラン・ダンサーでさえ、サポートに気がいき過ぎてへっぴり腰になるときもあるのに。
演技面はまだまだこれからという感じでしたが、スタイル、テクニック、サポート力が十分備わっているので、これからが楽しみなダンサー。スター誕生の舞台に立ち会えた気分です。

クリメントヴァ、墓から出てきたときの最初の回転軸が安定していて、とても滑らかな回転でした。アラベスク・パンシェもガクガクすることなく綺麗。ウィリらしく宙を浮かぶように軽やかで、非常に安定したテクニックです。
初めは、やや老けたジゼルなどと思っていましたが、観ているうちに全く気にならなくなり、すっかり入りこめました。
他のダンサーの精霊ジゼルは、人間らしさを消したような雰囲気で踊ることが多いのですが、クリメントヴァはどこか温かみを感じるウィリでした。
ラストのほうで、踊りつかれたアルベルトを包み込むように抱く場面では、まるで母親が子供を抱くような慈しみ深い愛情が感じられ、悲しいはずのジゼルを見ながら、どこか温かい気持ちになってしまいました。
それだけに、生きている者と死の世界の者の別れは切なく、2幕でもまた涙してしまいました。
今まで数々の有名ダンサーのジゼルを観てきたけれど、これだけ温かなジゼルを観たのは初めてかもしれません。
ムンタギロフ目当てで行きましたが、クリメントヴァの安定感のある踊りと人柄が滲み出るような温かな役作りにすっかり感動してしまいました。
こんなに素晴らしいダンサーがいたとは。

非の打ち所のない堀口さん/ミルタ、将来を期待させるムンタギロフ/アルベルト、安定感と温かみのある踊りのクリメントヴァ/ジゼル。この三人のおかげで、非常に素晴らしいジゼルを堪能できました。

posted by ひつじ at 22:01| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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