2009年03月22日

English verse〜The rising Sun〜

    "The rising Sun"

             John Donne

Busie old foole, unruly Sunne,
Why dost thou thus,
Through windows, and through curtaines
Call on us?

Must to thy motions lover’s seasons run?
Sawcy pedantique wretch, goe chide
Late schoole boys and sowre prentices,
Goe tell Court-huntsmen, that the king will ride,
Call countrey ants to harvest offices,
Love, all alike no season knows, nor clyme,
Nor hours, days, momeths, which are the rag of time…

Thou sunne art halfe as happy as wee,
In that the world’s contracted thus.
Thine age askes ease, and since thy duties bee
To warme the world, that’s done in warming us,
Shine here to us, and thou art every where;
This bed thy centre is, these walls thy spheare.



     「日の出」

              ジョン・ダン

ひたすらに務めて老いし、日の翁
いかなれば、かくやする
窓に入り、帳をあけて吾らを訪なう

汝の巡る時に従い、恋する時の終われとや
賢しらに言あげて、学舎に
遅れし子らと手を厭う弟子らを叱り
犬飼いに王の出を告げ
地の蟻を刈り入れに呼ぶ
折り節も、季節も刻も日も月も
すべては時の切れ端、愛を知らず・・・

汝と吾らがかくは契れば
汝の幸は半ばにてやむ、哀れやな
汝は老いし、いまははや憩いの時ぞ
世を温む汝の務めは、すでに果たし終わりぬ
ここにきて吾らに輝け、されば汝はあまねく在ます
この褥、汝の巡る軸、かの壁ぞ、汝を照らす空


前回の、デレク・ジャーマンの「プロスペクト・コテージ」の壁に書かれたジョン・ダンの詩を取り上げることにしました。
本の訳をそのまま載せましたが、な〜んとムズカシイ訳なんでしょ。
読みやすい訳に訳し直そうかとも思いましたが、ムズカシそうだし、面倒臭いのでやめました(^_^;)(←不親切)
ま、文語体も詩らしくて良いでしょう。

この詩を書いたのは、ジョン・ダン(1572−1631)というイギリスの詩人です。
ダンは、ヘンリー8世に処刑された聖人トマス・モアの血筋をひく家系に生まれ、頑ななカトリック信者の一家に育ちました。
しかし、当時は、スコットランド女王メアリを中心とした英国の王位に対する陰謀から、カトリック信者は不信を買い、ダンの一族も苦労が絶えませんでした。
叔父二人は僧侶として信仰のために殉教し、ダンの弟は、僧をかくまったかどで投獄され、獄死します。これらのことから、ダンはカトリック信仰に疑問を抱くようになるのです。

ダンは、11歳でオックスフォード大学に入学。その後、ケンブリッジ大学と法学院で学び、エセックス伯爵の遠征に加わってスペイン軍と戦います。
外交官としての知識を得たダンは、国璽尚書エジャートンの秘書となります。
輝かしい将来を約束されていたにもかかわらず、エジャートンの姪アン・モアと恋仲になり、1601年に極秘結婚。これがエジャートンの激怒を買い、投獄され、失職してしまいます。
以後十数年間、人の情けにすがって生きる暗黒時代を過ごすことになるのです。
自殺論を書いたのも、この頃のことです。

しかし、国王ジェームズ1世の要望に従って書いた、反カトリックの論文が高く評価され、1615年、英国国教会の聖職者の地位を得ます。
見事な転身は順調に運び、やがてダンはセント・ポール寺院の主席司祭に就任。
自らの心理体験をもとに語られる説教は聴衆に深い感動を与え、ダンの名を広めることとなるのです。
ようやく成功と安定を手に入れたダンですが、妻や娘、息子に先立たれ、家庭的には恵まれませんでした。
晩年、死を予感したダンは、死装束に身を包み、棺の中に立った自らの姿を描かせ、その像はセント・ポール寺院の中に置かれているそうです。
(あれ?セント・ポール寺院に行ったのに、見た記憶がないゾ(^_^;)まぁ、二十ン年も前のことなので忘れた(^_^;)

個人的に、ジョン・ダンといえば、”Death”の詩なので、そちらも載せておきます。

    “Death, be not proud”

                 John Donne

Death, be not proud, though some have called thee
Mighty and dreadful, for thou art not so:
For those whom thou think’st thou dost overthrow
Die not, poor Death: not yet canst thou kill me.

From Rest and Sleep, which but thy picture be,
Much pleasure, then from thee much flow;
And soonest our best men with thee do go
Rest of their bones and souls’ delivery!

Thou’rt slave to fate, chance, kings, and desperate men,
And dost with poison, war, and sickness dwell;
And poppy or charms can make us sleep as well
And better than thy stroke. Why swell’st thou then?

One short sleep past, we wake eternally,
And Death shall be no more: Death thou shall die!


    「死よ、驕るなかれ」

               ジョン・ダン

死よ、驕るなかれ たとえ、人々がお前を強く恐ろしいと言ったとしても
お前は、全くそうではないからだ
お前が、亡ぼしたと思っている人々も、死んでなどいないのだ 
憐れな死よ お前は私さえも殺せはしないのだ

お前の写し絵である休息と眠りから、喜びが溢れ出す
だとすれば、お前からはもっと多くの喜びが溢れ出す
最も善なる人々は、最も早くお前と共に行ってしまう
彼らの骨は休み、魂は解放されるのだ

お前は、運命、偶然、王や絶望した人間の奴隷
毒と戦争と病気と共に暮らすもの
芥子の花や呪いのほうが、お前の一撃よりはるかに
よく眠らせてくれる それならば、何故そんなに威張りくさるのか

束の間の眠りの後、人は永遠に目覚めるのだ
死は、もはやない 死よ、お前こそ死ぬのだ!


この詩は、4行×3連+2行のシェイクスピアン・ソネット(14行詩)で書かれています。押韻は、abba。4連目の”eternally”は「エターナライ」と読ませ、次の行の”die”(ダイ)と韻を踏んでいます。
シェイクスピアン・ソネット最大の特徴は、ラストの2行で「逆転」が起こることです。
ここでも、人々を亡ぼすはずの死が、ラスト2行で、死によって人々は永遠の生を得、そのとき、死こそが死ぬのだという結びになっています。
「死が死ぬ」とは、なかなかユニークな観点ですが、この言葉は、聖書の“The last enemy that shall be destroyed is death.”(最終の敵なる死もまた亡ぼされん)(コリント人への第一の手紙:15:26)という言葉からきています。
当時、イギリスでは、1603年、1608年、1609年、1610年と毎年のようにペストが流行り、沢山の人々が亡くなりました。
ダン自身、妻や娘、息子という最愛の家族を次々と失い、死について深く瞑想することとなったのでしょう。
ダンの最晩年に書かれたこの詩は、信仰によって死を超越するという、ダン自身が人生の終盤に辿り着いた境地を表しているようです。
生きる物全てに必ず訪れる死。それをどう受け止め、乗り越えていくか。
それは、この世に生を受けた者に課せられた普遍的な問いなのかもしれません。

余談ですが、ヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』というタイトルは、ダンの「死にのぞんでの祈り」の1節「われもまた人の子なれば、人の死に心痛む。それ故にこそ、問うなかれ、誰がために鐘は鳴ると。汝がために鐘は鳴るなり」から引用されたものだそうです。これは、私も今回、このブログを書くにあたり知りました。(←今更(^_^;)

posted by ひつじ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 英詩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック